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8. 手のふるえ、振戦(しんせん)
 
質問: 65才、会社員です。
1年ほど前から、コーヒーカップを持とうとしたり、字を書こうとすると右手がふるえるようになりました。 徐々に悪化して最近は人前で手を使うことに気が引けます。
叔母がパーキンソン病で歩行が不自由になり通院しています。私も同じ病気ではないかと心配です。

答え:

手の震えは高齢になるにしたがって、よく見られる症状の一つです。体の一部が意思に反してリズミカルに動くことを振戦といいますが、その一つです。
振戦にはいろいろなものがあります。よくみられるのは頭や舌、顎が常に揺れる老人性振戦です。加齢に伴い誰にでも起こりうるもので、手足に広がることはなく特別治療は要しません。
また新聞などを持っているときの姿勢時振戦、字を書く、コップを口に運ぶなどの最中に手が震える運動時振戦もよく見られます。これらは原因が不明なことが多く本態性振戦と呼ばれ、通常は日常生活に支障をきたすまで進行することはまれです。
あなたの場合は、この運動時振戦とは違ってコップや鉛筆を持とうとしたときに手が震えるので企図振戦の疑いがあります。このように何かをしようとするときに手足が震えるときは小脳の病気が隠れている場合があります。
パーキンソン病によるふるえは運動時ではなく静止時振戦で、手を膝の上の置いているときなどにみられます。
前かがみ姿勢、歩行時の腕振りの減少、すくみ足などの歩行障害があれば別ですが、現時点ではパーキンソン病の可能性は少ないと思われます。
振戦を呈する病気はたくさんありますが、専門は神経内科です。神経学的な詳細な診察ののち、電気生理学的な神経・筋肉の検査、MRIなどの画像診断が行われます。治療は脳腫瘍、脳梗塞などの病気が見つかった特別な場合を除いて、通常は薬物治療でコントロールされるようです。

   
   
 
本態性振戦の年齢別発症頻度
 
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